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大阪地方裁判所 昭和47年(わ)467号 判決 1972年9月30日

一、本店所在地

守口市高瀬町四丁目一九番地二〇番地

商号

小林電気工業株式会社

代表者氏名

代表取締役 小林瀧雄

二、本籍

枚方市大字津田一、四八九番地

住居

守口市高瀬町四丁目五二番地

職業

小林電気工業株式会社代表取締役

氏名

小林瀧雄

大正一二年九月一六日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官忠海弘一出席して審理し、次のように判決する。

主文

被告人小林電気工業株式会社を罰金一、一〇〇万円に、被告人小林瀧雄を懲役八月に処する。

被告人小林瀧雄に対し、この裁判確定の日から右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人小林電気工業株式会社(昭和四七年一月二九日旧商号「株式会社小林電気工業所」を現商号に変更、同年二月一七日登記)は守口市高瀬町四丁目一九番地・二〇番地に本店をおき電気設備工事請負および電気計測器組立販売業を営むもの、被告人小林瀧雄は同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人小林瀧雄は同会社の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、昭和四三年二月一六日から同四四年二月一五日までの事業年度における所得金額が五五、七九三、六五九円でこれに対する法人税額が一八、九九二、八〇〇円であるのに、公表計理上売上の一部を除外し架空の労務費を計上するなどの不正行為により右所得金額中五〇、二〇三、四七三円を秘匿したうえ、同年四月一五日枚方市大垣内町所在枚方税務署において同税務署長に対し右事業年度の所得金額が五、五九〇、一八六円でこれに対する法人税額が一、四五八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正行為により法人税一七、五三四、八〇〇円を免れた、

第二、昭和四四年二月一六日から同四五年二月一五日までの事業年度における所得金額が六七、一三〇、三〇六円でこれに対する法人税額が二二、九六四、五〇〇円であるのに、前同様の不正行為により右所得金額中五九、三四六、二七六円を秘匿したうえ、同年四月一五日門真市門真所在門真税務署において同税務署長に対し右事業年度の所得金額が七、七八四、〇三〇円でこれに対する法人税額が二、二一八、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正行為により法人税二〇、七四五、六〇〇円を免れた、

第三、昭和四五年二月一六日から同四六年二月一五日までの事業年度における所得金額が七四、三七七、〇四六円でこれに対する法人税額が二六、六七二、四〇〇円であるのに、前同様の不正行為により右所得金額中六五、一七五、〇六〇円を秘匿したうえ、同年四月一五月前記門真税務署において同税務署長に対し右事業年度の所得金額が九、二〇一、九八六円でこれに対する法人税額が二、七五四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二三、九一八、二〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示第一の事実について、

一、井村松太郎作成の照会回答書

一、今井直一、樋口和一作成の決済方法明細表各一通

一、木村滋(昭和四六年一〇月一二日付)、三和銀行守口支店次長小松孝一郎作成の確認書各一通

判示第二の事実について、

一、浅井昭次作成の確認書

一、河村重子の収税官吏に対する昭和四六年一二月一八日付質問てん末書

判示第三の事実について、

一、梶原信一、瀬田信之、高砂治美、江守方雄および住友銀行本店営業部作成の確認書各一通

一、松下電工株式会社作成の照会回答書

一、田中邦夫、内田孜、梶原信一作成の供述書各一通

一、河村重子の収税官吏に対する昭和四六年一〇月一一日付質問てん末書

判示全事実について、

一、登記官作成の商業登記簿謄本二通

一、株式会社小林電気工業所の定款

一、門真税務署長作成の証明書二通

一、木村滋(昭和四六年一〇月一五日付)、土井隆明、内田孜、島誠、田中邦夫、岩佐真年、児山潔、三菱銀行森小路支店長杢野敏男(三通)、河村重子(一三通)作成の各確認書

一、三菱銀行今里支店、三菱銀行鶴橋支店、三菱銀行七条支店、三菱銀行大阪支店、住友銀行天満橋支店(四通)、協和銀行守口支店作成の各確認書

一、北河内地方事務署長作成の照会回答書および「事務連絡」と題する書面

一、河村重子の収税官吏に対する質問てん末書八通(昭和四六年一〇月一一日付および同年一二月一八日付を除く)ならびに検察官に対する供述調書

一、国税査察官作成の調査元帳および銀行調査元帳

一、被告人作成の上申書および確認書二通

一、被告人の収税官吏に対する質問てん末書八通および検察官に対する供述調書二通

(法令の適用)

被告人両名の判示所為は、いずれも法人税法一五九条一項、七四条一項二号(法人の処罰につき、なお一六四条一項に該当するところ、被告人小林電気工業株式会社につき以上の罪は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で被告人小林電気工業株式会社を罰金一、一〇〇万円に処し、また被告人小林瀧雄について所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は刑法四五条前段の併合罪なので同法四七条、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において被告人小林瀧雄を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のように判決する。

(裁判官 砂山一郎)

右は謄本である

昭和四七年一〇月一八日

大阪地方裁判所

裁判所書記官 田村剛

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